2.情報ハイディングによるメディアセキュリティ |
メタデータハイディング(情報ハイディング技術を用いたMPEG動画へのメタデータの埋め込み)
近年,メタデータ(*1)を用いたマルチメディア・コンテンツの検索や要約が注目されている.マルチメディア・コンテンツとそれに対応するメタデータは2つのデータが揃ってこそ意味を持つので,いつでも共に使うことができる状態で保存されている必要がある.これを実現するために我々は,情報ハイディング技術(*2)を用いてマルチメディア・コンテンツ自身の中に対応するメタデータを埋め込んでしまうことを考えている(図1).
本研究では,マルチメディア・コンテンツとして広く用いられているMPEG動画を埋込対象とするメタデータ(MPEG-7標準準拠)の埋込を行っており,その埋込方法や適用できるサービスなどを検討・考察している.我々が提案した「動画の編集を受けても埋め込んだメタデータが壊れにくい埋込手法」を紹介する(図2).この手法では,動画においてよく行われるシーンやショットのカットや結合のような編集を受けても,新たに作成された動画データからそれぞれのシーンやショットに応じたメタデータが抽出できるようにすることを目的としている.そのために,オリジナルのメタデータからそれぞれのシーンやショットに対応したメタデータを作成し,それらを対応する部分に埋め込むことを行う.
図1 図2 (*1)メタデータ・・・“データの意味について記述したデータ”のことで,特にここではマルチメディアコンテンツの内容情報などの特徴や特徴量(特徴を定量的に表した数値データ)をテキスト形式で記述したデータのこと
(*2)情報ハイディング技術・・・マルチメディアコンテンツなどのディジタルデータの中に意図的に他の情報を隠すデジタル技術であり,電子透かしやステガノグラフィーとして知られている.
<例>
オリジナル映像 DL メタデータを埋め込んだ映像 DL メタデータ(xml)
コンテンツ認証(改ざん検出)
マルチメディアとネットワーク技術の発展により、マルチメディアコンテンツの改ざんが大きな問題となっている。 マルチメディアコンテンツに施された改ざんは、場合によっては重大な結果につながることもあり、 改ざん検出を行う手法が望まれている。このように、コンテンツが改ざんされていないことを真正性をいい、 コンテンツの真正性を確認することをコンテンツ認証(content authentication)という。
本研究では、コンテンツ認証を行う手段として、電子透かしに注目し、研究を行っている。
著作権保護(録音位置推定)
近年の録画録音機材の高性能化により,映画館などに機材を持ち込み記録するブートレッグが容易になった.この問題の解決策の一つとして電子透かし技術を利用し,著作権情報をコンテンツに埋め込む方法がある.しかし,この方法では不正記録者の特定が困難であるため,ブートレッグの抑止力として十分ではない.そこで我々は,録音された信号に含まれる電子透かしから録音位置を推定する研究を行なっている.本研究の一部は財団法人原総合知的通信システム基金の援助を受けている.