情報通信技術(ICT: Information and Communications Technology)の進展により、 膨大な量のマルチメディア情報が蓄積、高速伝送されるようになってきた。 1対多や多対多のコミュニケーション、あるいは人対人や人対機械(コンピータ、ロボット、エージェント) のコミュニケーションなど多様なコミュニケーション環境が創出されつつあり、 旧来の1対1を中心とするコミュニケーション環境を凌駕する枠組が要請されている。 とりわけ、コミュニケーションの最終的な受益者は人であるため、 人に優しく使いやすくする技術やコミュニケーションを安全かつ円滑にする技術が重要となる。 そのためには、人を取り巻く環境においてコミュニケーションを支援する知能化技術、マルチメディア技術、 並びにセキュリティ技術をICTと融合させた知能情報通信システムが必要となる。 このようなシステムを通して、時間、空間、世代、言語、人種、文化を超えたコミュニケーションが現実のものとなる。

本領域では、上述の知能情報通信システムを実現するため、マルチメディア(画像・映像・音声・言語)処理、 メディアセキュリティ、マルチメディア符号化、ディジタル信号処理など、 マルチメディアコミュニケーションに関する基盤分野の研究と教育を担当している。 平成17年度の工学研究科の改組と共に、領域(研究室)名は標記のような名称に変更された。 ちなみにコミュニケーション工学(通信工学ではなく)と表記する理由は人間を含めた情報通信系を扱うことを標榜する意味を込めている。 情報通信工学部門では、物理レイヤからネットワークレイヤさらには応用レイヤまですべてのレイヤをカバーする編成が取られているが、 本領域はもっとも上位のレイヤをカバーしていることになる。

研究室の指導方針は、先進的な研究を通して世界レベルの研究者・技術者を育成することである。 この一環として、修士課程の学生から国際会議への投稿・発表を推奨している。